厚生労働省

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両立支援シンポジウム/セミナー

兵庫 治療と仕事の両立支援セミナー

<開催日時>
2020年2月19日(水)
13:30-16:30
<場所>
神戸クリスタルタワー3F
クリスタルホール
<主催>
厚生労働省
<共催>
兵庫労働局
※新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、感染拡大防止のため、演者を含めた全ての出席者がマスク装着のもと、セミナーを実施いたしました。
プログラム
時間
講義内容
13:30 〜 13:35
開会挨拶
兵庫労働局局長 畑中啓良
13:35 〜 14:20
基調講演
日本製鉄株式会社 君津製鉄所 総括産業医 宮本俊明氏
14:20 〜 14:30
休憩
14:30 〜 14:50
企業取組事例紹介①
株式会社アシックス 人事総務統括部 総務部
健康推進チームマネジャー 下川幸治氏
14:50 〜 15:10
企業取組事例紹介②
シスメックス株式会社 人事部 労務政策課 シニアカウンセラー 播野雅子氏
15:10 〜 15:30
医療機関取組事例紹介①
兵庫県立がんセンター がん相談支援センター 看護師長 伊藤由美子氏
15:30 〜 15:50
医療機関取組事例紹介②
独立行政法人 労働者健康安全機構 関西労災病院
医療連携総合センター MSW 平田直子氏
15:50 〜 16:05
ご案内①
兵庫産業保健総合支援センター 副所長 畑中義春氏
16:05 〜 16:20
ご案内②
兵庫労働局職業安定部職業安定課
16:20 〜 16:30
総括
日本製鉄株式会社 君津製鉄所 総括産業医 宮本俊明氏

基調講演

「治療と仕事の両立支援 ~何が求められているのか~」

日本製鉄株式会社 君津製鉄所 総括産業医 宮本俊明氏

 宮本氏は、事業場が行うべき両立支援について、あくまで「働きたい!」という本人の意思が第一としながらも、病気による入院・治療などで、これまで通りに働けなくなった従業員に対し、どうしたら良いかを本人と話し合い、対応策を実行することであると説明。両立支援策の検討においては、「症状や治療内容、職場・家族の状況、仕事や制度の状況などさまざまな要素が複雑に絡んでおり、正解は一つではない。そのため、患者本人・主治医・事業者が密に連携し、本人を取り巻く状況も踏まえた配慮事項を検討することが必要である」と説明した。その上で、実際に企業において両立支援を導入する際には、厚生労働省が作成したガイドラインやマニュアルや、地域の相談窓口として産業保健総合支援センターもあるため、有効に活用して欲しいと締めくくった。

各企業・医療機関の取組

「アシックスが取り組む健康経営 〜心身ともに健康な状態を目指して〜」

株式会社アシックス 人事総務統括部 総務部 健康推進チームマネジャー 下川幸治氏

 兵庫県神戸市で創業したスポーツ用品メーカーである同社では「“ANIMA SANA IN CORPORE SANO”——健全な身体に健全な精神があれかし」の創業哲学の下、健康経営を推進している。両立支援においては、「診断から職場復帰まで、当事者本人が心配・不安・困難に感じていることを丁寧にヒアリングし、上長・管理部門と連携」「治療に専念できる環境を整え、場合により家族・主治医とも連携する」ことの重要性を挙げた上で、実効策として、両立支援を希望する従業員ごとに産業医と産業保健スタッフがマンツーマンでフォローする体制を整備していることを取り上げた。さらに、「主治医・産業医・産業保健スタッフ・所属部署が専用フォーマットを共有・活用することで、連携を強化することができる」と具体的な方法を紹介した。

「シスメックスの取組紹介」

シスメックス株式会社 人事部 労務政策課 シニアカウンセラー 播野雅子氏

 同社は兵庫県神戸市に本社を置き、臨床検査機器・検査用試薬・関連ソフトウェアなどの開発・製造・販売・輸出入を行う。病気の予防に関する取組として、健康保険組合とのタイアップを紹介。人事部労務政策課が従業員に検診を促すとともに、検診の結果が直接健康保険組合に送付されることで、早期発見と、保健指導対象連絡の早期化を図っている。両立支援に関しては、有給休暇や積立有給、ならし出社、フレックスタイム、在宅勤務などさまざまな制度を取り入れ、通院から治療専念期、勤務再開期、正式復職に至るまで長期にわたり、産業医とも連携しながら支援を実施していることを紹介。「どんな病気であっても、丁寧な復職準備をすることで、復帰の可能性は高くなります」と語った。今後については「両立支援に対応する社内の体制をより一層整備していくことで、(治療が必要な人を含め)一人一人が活き活きと、能力を発揮できる会社を目指したい」と締めくくった。

「兵庫県立がんセンターの取組紹介」

兵庫県立がんセンター がん相談支援センター 看護師長 伊藤由美子氏

 がん診療連携拠点病院である同院では、がんのことであれば通院の有無にかかわらず、患者本人はもちろん、家族や企業からの相談にも無料で応じる。伊藤氏は、がん患者の多くが早い段階で離職を決断してしまう実状に触れ、同センターによる両立支援の取組を解説。同センターには、産業保健総合支援センターから定期的に両立支援促進員が派遣されており、相談者(患者)との面談に担当看護師が同席し、疾患、治療内容、身体・心理・生活状況などの情報を整理して、サポートしている。「職場にどう説明すればよいのか分からない」「職場の迷惑をかけてしまいそう」「活用できる制度が分からない」「経済的な不安が付きまとう」といった相談内容が多く寄せられる中、相談の都度、両立支援促進員と連携を図っていると話し、参加者へ向け、同院の相談窓口の活用を呼び掛けた。

「関西労災病院における両立支援の実際」

独立行政法人 労働者健康安全機構 関西労災病院 医療連携総合センター MSW 平田直子氏

 同院に設置されている治療就労両立支援センターには「両立支援部」が開設され、厚生労働省のガイドラインなどを運用した両立支援・復職支援が行われている。平田氏はこれまでに行ってきた支援事例を紹介するとともに、支援からの学びとして、「主治医から事業者への診断書は、『できること』『避けた方がよいこと(配慮が必要なこと)』を具体的に提案することが必要。例えば、『軽作業』という言葉だけでは、事業者側は何に配慮すればいいのか分からない」ということを挙げ、主治医に具体的な診断書の作成を呼び掛けているという。また支援を通して、主体はあくまで患者自身と強く意識。本人の家族、事業者、医療機関など関係者が連携し、「本人が自ら考え・行動できること」を支援することが大切だと語った。

「産業保健総合支援センターからのご案内」

兵庫産業保健総合支援センター 副所長 畑中義春氏

 畑中氏は、兵庫産業保健総合支援センターが実施している両立支援の取組を解説した。主な両立支援サービスの内容は、セミナー(研修会)の実施、情報提供、相談対応など。事業場に対しては、個別訪問支援(事業場・病院等での両立支援を助言・支援)や個別調整支援(事業場での両立支援プラン作成を助言・支援)を行うことも多く、これらサービスは事業場規模にかかわらず全て無料で利用することが可能とした上で、来場者へセンターの活用を呼び掛けた。

セミナー総括

 最後に、基調講演で登壇した宮本氏が全体統括を行った。産業医、企業の総務・人事、がん診療連携拠点病院、労災病院、産保センター、ハローワークとさまざまな立場から貴重な情報が共有されたことを取り上げ、「立場が異なる各所にサポートシステムがあり、そこでいろいろな職種の方が両立支援に加わっている。そのことが心強く感じた。さまざまな知恵・つて・情報・制度を使い、みんなで働いていける社会を目指しましょう」と、セミナーを締めくくった。

(左から)兵庫労働局 局長 畑中啓良、兵庫県立がんセンター がん相談支援センター 看護師長 伊藤由美子氏、関西労災病院 医療連携総合センター MSW 平田直子氏、日本製鉄株式会社 君津製鉄所 総括産業医 宮本俊明氏、シスメックス株式会社 人事部 労務政策課 シニアカウンセラー 播野雅子氏、株式会社アシックス 人事総務統括部 総務部 健康推進チームマネジャー 下川幸治氏、兵庫産業保健総合支援センター 副所長 畑中義春氏、兵庫労働局 健康課長 大森安成氏

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