両立支援の取組事例
ハローワークとの連携で難病者の就職支援や退職者の再就職を支援
社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院
- 会社名
- 社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院
- 所在地
- 熊本市中央区大江3丁目2番55号
- 事業内容
- 医療業
- 設立
- 1981年12月
- 従業員数
- 369名(2022年12月現在)
- 平均年齢
- 43歳/男性2.3:女性7.7
高野病院は1982年、大腸肛門病に特化した病院として熊本の地で開院しました。大腸肛門の予防・診断・治療・フォローアップを具現するために4つのセンターを備えています。これら4つのセンターを4本柱として、全員が一致団結して医学的にも、医療的にも、また患者さんにもご満足いただける専門施設をつくり、地域のあらゆる医療施設と協力して発展したいと考えています。患者さんが安心して治療を継続してもらうために経済的、社会的課題解決のお手伝いができればという思いのもと、両立支援に取り組んでいます。
がんで治療中に仕事が継続できず退職し、経済的に困窮し治療を中止せざるをえない患者さんや、炎症性腸疾患の方で若年発症で病気治療のため欠席日数も多く大学進学や就職が制限され、就職後も増悪し休職または退職を選択しなければならなかった患者さん。こうした方々の相談を受ける中で何とか安心して治療を継続できるように経済的、社会的課題解決のお手伝いができればと考えたことがきっかけです。
特に就労相談に対する理念や方針など設けてはおりませんが、当院の理念の5S(Smile,Service,Study,Speciality,Safety)に基づき、Serviceの観点から患者さんのご相談についてはよくお話を伺い、お困りごとに対応するようにしています。患者さんが希望されれば職場の方と面談し就労の条件や勤務時間等の情報提供等を行い、患者さんの要望に即した対応を心がけています。また、支援のもとになるStudy,Specialityも研鑽を積み、他の専門職種とチームを組み対応に努めています。
相談希望の方は相談室へお越しになるか電話等で相談ができます。院内スタッフに申し出られた場合は相談員へ連絡をしてもらうようなシステムになっており、相談を受けたら医療ソーシャルワーカーへという院内ルールが定着しています。また、お話を伺い必要に応じてハローワークの出張相談へ繋ぎます。
患者さんが希望された場合、もしくは職場の方からの要望があればご本人の同意により医師との面談を調整しています。がん疾患の方に対しては産業保健スタッフが配置されている企業が少なく実績はありませんが、心療内科等での実績はあります。連携の工夫としては、企業に対して患者さんの治療を進めた場合にどのような時間、対応が必要となるかをできるだけ具体的に説明を行うことで、企業さん側の対応をしやくすくしています。
がんや難病者の就職支援や退職者の再就職支援に関してハローワークとの連携を強化しています。毎月第3火曜日にハローワーク熊本からの出張相談があり、希望の方はその日に来ていただいています。その日のご都合が悪ければ、当院からハローワーク熊本までは徒歩数分の距離ですので、就労支援ナビゲーターの方に連絡し、直接ハローワーク熊本へご相談に行っていただいています。また、ナビゲーターの方の都合がつけば出張相談日以外でも来院して対応いただいています。相談の前には情報提供書を作成し、ナビゲーターの方の事前準備の参考にしていただいています。
就労相談の案内ポスター、リーフレットを待合室、診察室受付、各病棟に置き、就労相談をお受けしていることをPRしています。また、入院案内にも就労相談の案内を記載するなど、様々な方法で相談窓口があることを知ることができるようにしています。また、最近はコロナのため実施できていませんが、ハローワーク熊本から来院していただき、職員勉強会や各病棟ごとの勉強会で就労支援について講義をして職員の就労相談に関する知識向上を図り、患者さんへの問いかけなどへ繋がるように努めています。
治療の結果、疼痛があるため長時間の業務が困難なこと、また頻回の排便に対しトイレに行きやすい環境が必要なケースにおいて、診断書を作成し職場へ対応を依頼しました。結果、職場において配慮をしてもらうことができ、仕事を継続できたケースがありました。
<実績>
2018年:ハローワーク出張相談7件、ハローワーク窓口4件、相談員17件
2019年:出張相談9件、相談員12件
2020年:ハローワーク3件、相談員16件
2021年:ハローワーク1件、相談員9件
2022年:11月現在相談員11件
※コロナ感染予防のため2020年、2021年は出張相談が制限されていました。
ハローワークの出張相談は助かっています。しかし、出張相談日と受診日が合わない場合、あらためて仕事を休んで来院していただくことが難しいという点が課題となっています。
取組事例一覧