厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

社員一人ひとりが心身ともに健康であり、働き甲斐や成長実感を持ちながら挑戦し続ける環境を整備

ウシオ電機株式会社

人事総務戦略部門 部門長 丸岡史明氏

会社名
ウシオ電機株式会社
所在地
東京都千代田区
事業内容
製造業・光応用製品事業ならびに産業機械及びその他事業
設立
1964年 3月
従業員数
1,707名(2021年3月現在)
平均年齢
44.4歳/男性7:女性3
産業保健スタッフ
常勤3名(その他非常勤産業医など)

光を「あかり」として 「エネルギー」として利用し、新しい光市場を創造する―1964年の創業当時に掲げた事業方針は、50年以上経過した今も変わりません。光を追求し続け、私たちはこれまでにさまざまな先端分野に広く貢献してきました。社員一人ひとりが心身ともに健康であり、働きがいや成長実感を持ちながら挑戦し続ける環境を作り上げていきたいと考えています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

2010年頃、メンタルヘルス不全、脳・心臓疾患、悪性腫瘍、感染症等の疾患を抱える社員が再発して長期休職におよぶケースもでていたことから、まずは復職時の支援内容に関する体制整備を始めました。その後、休職開始時から休業中のケア、復職判定の基準の整備、復職後のフォローアップを順次整備し、全体の流れを体系化し、病気治療と仕事の両立支援のプログラム構築を行ってきました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

当社では、企業理念のひとつ「会社の繁栄と社員一人ひとりの人生の充実を一致させること」の実現を追求しています。その考え方をベースに「事業成長」と「仕事(職場)における充実」を一致させることを目指し、喜びと驚きを生み出す輝く集団として、①一人ひとりがプロフェッショナル(仲間と共に成長)②常に共にある仲間(本音を言い合える)③「見てくれている(信頼関係)という安心感」を人事ビジョンに掲げています。また2021年に策定した「5つの経営のフォーカス」の一つとして「成果を上げやすい職場環境作り」を定めています。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

●職場復帰支援プログラム
1か月以上の休業を対象として、職場復帰支援プログラムを2011年度に整備しました。
●働き方や病気休暇等に関する人事制度の浸透
医療の進歩により入院の短期化や通院治療で対応できるケースが増えており、治療と仕事を両立できる働き方や病気休暇等の制度を見直し、整備しました。社員向けには制度内容をまとめた「両立支援ハンドブック(治療編)」を社内Webで公開し、制度の啓蒙を図っています。
●GLTD制度の導入
治療期間の長期化により治療費だけでなく収入面での経済的不安は大きく、ご本人もご家族も安心できる環境を提供できるよう2021年度からGLTD制度(団体長期障害所得補償保険)を導入しています。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

事例①:40代
病状を上司のみに相談して治療を継続。
本人と上司の間だけで就業制限等を設けていた。
繁忙期になると周囲と同様の仕事ができず、同僚から不満が出はじめた。その後に産業医に相談があった。
→ この件をきっかけに、ライン長向けにラインケア研修コンテンツを整備しました。

事例②:30代
人間ドックにて悪性腫瘍が判明。
約2年間の休職を経て復職を認めた。
不測の事態に備え、本人の許可を取り、職場全員に状況を告知、緊急連絡の対応方法を説明した。
→ この件をきっかけに、長期就業不能になった時の経済的不安は大きく、本人だけでなくご家族も安心できる環境を提供できるようにGLTD制度を導入しました。

今後の展望・課題をお聞かせください。

2020年度に健康宣言を行い、社員一人ひとりが心身ともに健康であり、働きがいや成長実感を持ちながら挑戦し続ける環境を作り上げていきたいと考えています。
具体的には一人ひとりの状況に応じて、各社員が成果を上げやすい職場環境を常に立ち止まることなく改善していきたいと考えます。両立支援は制度面で充実してきましたが、実際に病気になった社員へのヒアリングの実施、産業保健スタッフからのアドバイスをいただきながら、今後も随時見直しをかけていく予定です。これまでは病気になった方の支援を中心に取り組んできましたが、今後は社員の平均年齢も上がってきていますので、早期治療や予防という点に軸足を置いた施策も進めていきます。

取組事例一覧