厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

社内に設置した「ヒューマンリソースセンター」を
中心に社員と家族の人生全体を支援

株式会社松下産業

代表取締役社長
松下 和正

会社名
株式会社松下産業
所在地
東京都文京区
事業内容
総合建設業
設立
1964年12月
従業員数
235名(2021年6月現在)
平均年齢
40.1歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
3名

従業員235人を抱える総合建設業。近江商人の商精神の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)を独自の考えで進化させ「顧客よし、会社・社員よし、世間(地域・環境)よし、協力企業よし」の「四方よし」を経営理念に掲げ、社員の健康管理についても独自の視点で取り組んでいます。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

1959年創業時より病気と仕事を両立することは当たり前の企業文化がありましたが、2012年文京区よりワーク・ライフ・バランス推進企業として認定を受けたことをきっかけに、名実ともに健康経営を実現しようと2013年社員と家族の人生全体を支える専門部署「ヒューマンリソースセンター」を設置しました。相談窓口を一元化し、採用、教育、資格取得、育児、介護、ファイナンシャルプラン、リタイアメントプログラムまでワークとライフのイベントすべてを支援しています。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

ラインを越えて相談できるよう、取締役会直下に配置した「ヒューマンリソースセンター」が社員・家族の相談に応じています。具体的には以下の6つの事項に取り組んでいます。
①まず直接、本人・家族と話す。
治療計画を聞き、業務の引継ぎ、本人や家族の希望をヒアリング
②専門家との連携
産業医、産業保健師、社会保険労務士、産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、がん相談支援センター、ファイナンシャルプランナー等と連携し、社員と家族をフォロー
③治療を支える家族のサポート
ファミリーデーを開催し、社長やヒューマンリソースセンターとの交流を図り、相談しやすい環境を整える
④社内制度、公的支援制度の周知
GLTD(団体長期障害所得補償保険)全社員加入、患者と家族宛に療養時相談窓口等案内文書配布、在宅勤務制度や柔軟な勤務体制、がん検診実施(35歳以上人間ドック+オプション検査)、がんや病気に関わるライブラリーの設置、社内イントラネットや社内報に闘病記を掲載、禁煙外来費用の助成
⑤日ごろの情報収集とニーズ把握
年2回、役員と全社員の1対1の面談
⑥会社とのつながり、やりがいを感じてもらう
闘病記の掲載、グループウエアで治療状況を把握し、励ましのコメントを送る


産業医はどのように活用されていますか?

産業医に現場を巡視してイメージと実際の差を感じてもらったり、デスクワークとの比重や安全管理体制、工事現場の足場など危険箇所を把握してもらっています。また主治医面談にも同席して専門家として家族をフォローしています。 

今後の展望・課題をお聞かせください。

当社は2020年、民間で初めて日本対がん協会「朝日がん大賞」を受賞しました。昨今、国内の中小企業では新たに人材を採用することが難しくなっているので、精力的に各所で当社の取組をお話させていただいています。既存の社員の安心安全を担保し、社員定着率を高めるためにも治療と職業生活の両立の仕組み構築は欠かせない経営戦略のひとつと考えています。

取組事例一覧