厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

安全衛生活動の一環として治療と仕事の両立支援に取り組む

株式会社SANYO-CYP

製作部製版課 新谷 幸一 様
管理部 グループリーダー 太田 寛子 様
写真事業部 マネージャー 高橋 俊丸 様  *写真は新谷様と太田様のみ

会社名
株式会社SANYO-CYP
所在地
大阪府大阪市中央区龍造寺町8番15号
事業内容
印刷関連事業 及び、撮影事業
設立
1969年8月
従業員数
107名(2023年11月現在)
平均年齢
46歳 /男女比 男性7.7:女性2.3
産業保健スタッフ
11名

株式会社SANYO-CYPは1969年に会社を立ち上げ、印刷に関わる企画・デザイン・データ加工・試作・印刷・加工まで幅広いサポートを行っています。その他、WEB、VR/ARなどデジタルデータの企画・制作・販売や一般写真および、商業写真・動画撮影も行っています。環境変化の目覚ましい現代の中、社会やお客様からの期待にお応えするために常にチャレンジし続けています。 健康経営に関しては、従業員の健康維持・増進を重要テーマと位置づけ、健康課題の把握と対策、ワークライフバランスの推進、職場の活性化、病気の治療と仕事の両立支援、保健指導、生活習慣病の予防と対策、感染症予防対策、過重労働対策、メンタルヘルス対策、受動喫煙対策など、社員が安心していきいきと働くことができる会社を目指し、積極的に健康経営の推進に取り組んでいます。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

2012年、弊社従業員に胆管がん発症者が多発したことが明らかになりました。この件は厚生労働省での検討会を経て、結論としては胆管がんが発生したのは1996年~2008年に印刷機のインクを拭き取るために使用していた「1,2-ジクロロプロパン」を含む洗浄剤が原因であるという結論になり、2013年春に労災認定されました。 この事案がきっかけとなり2度と労働災害を起さないことを誓い、安全衛生活動に取り組み、2018年より健康経営優良法人認定へチャレンジしました。従業員が健康管理をして安心して働くことができる職場環境の仕組み構築がきっかけで「治療と仕事の両立支援」にも取り組み始めました。

従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

弊社パーパス<常に追い求める、永遠の目標>は「定年退職時、この会社で働いて良かった、自分の子ども・孫もこの会社で働かせたい、と思える会社にする。」です。パーパスに向け取り組んでいたことが「治療と仕事の両立支援」にも繋がっていきました。このパーパスは全従業員に周知しております。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

■仕組み:
〇ヘルスリテラシーの向上<管理職・従業員への教育>
管理職からチャレンジをして労働安全衛生に関する資格者が多数になり、従業員の健康意識の向上に繋がりました。
〇ワークライフバランスの推進<適切な働き方の実現に向けた取り組み>
3年に一度の旅行休暇を定めており、誰もがが3年に1度必ず休暇を取るので、各従業員はその間の穴埋めをすることは当たりまえと考えるようになっています。
〇病気の治療と仕事の両立支援
従業員一人一人が休職や職場復帰をいつか自分にも回ってくる当たり前のこととして受け止め、互いに支える企業文化が根付いているからこそ、安心して戻ることができる職場を創ることができ、両立支援がしっかりと機能できていると思います。
両立支援コーディネーターや幹部社員、衛生管理者など就業規則に詳しい人に教育し周知徹底できていることが弊社の両立支援のポイントになっていると思います。
〇支援者:
社内の両立支援コーディネーターや幹部社員、就業規則に詳しい衛生管理者等に加え、管理部、産業医による支援体制を整えています。
〇支援制度:
・試し出勤
・リハビリ出勤

貴事業場の治療と仕事の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

事案発生時には主治医、産業医、両立支援コーディネーター<就業規則を熟知した衛生管理者>、直属の上司<業務内容・シフトを理解>、管理部<就業規則を熟知>、代表取締役社長が当事者と一緒に復職後の働き方について協議することにより、弊社ではがんや心臓病等の治療をした社員の職場復帰率は100%となっています。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がありましたらお聞かせください。

年に4回開催される公益社団法人大阪労働基準連合会主催の衛生管理者協議会に参加し、「治療と仕事の両立支援」の他社事例等を聴講することにより知見を広めるようにしています。

両立支援に取り組まれたことによって生じた良い効果についてお聞かせください。

治療と仕事の両立支援をはじめとした健康経営に取り組んだことは従業員の安心感につながり、離職率の低下(人材の定着)に繋がっていると思います。

今後の展望・課題をお聞かせください。

従業員一人一人に寄り添い両立を支援することが安心して戻ることができる職場を創り、従業員が弊社で働き続けたい理由となり、病気と共存できる環境や企業文化の形成につながると思います。また、治療と仕事の両立支援は今後の高齢者雇用の時代を見据えた働き方改革、そして持続可能な成長へと直結すると考えています。
弊社は昨年末からキャリアコンサルタントが社内に常駐することになりました。治療中、復職時の支援は当然のことなので、今後は復職後の個人のキャリアアップといったフェーズまで支援していきたいと思います。

取組事例一覧